ドメーヌ・ル・ブリゾー
「クリスチャン・ショサール」がコトー・ド・ロワールというマイナーなアペラシオンで2002年に設立したドメーヌがル・ブリゾー。
元々ヴーヴレーの地でワイン講師(ティエリー・ピュズラも彼の教え子)と掛け持ちでSO2無添加のワイン造りを行っていたのですが、とある事情でワイナリーを引き払い各地を放浪。2001年に夫人と出会い再びワイン造りを再開。そして2006年に夫人のナタリーの愛称から取ったナナ(ヴァン・エ・カンパニー)というネゴシアンも立ち上げていますが、2012年にクリスチャンが亡くなり、その後を妻のナタリーが引き継ぎ現在に至る。
2006年からは全ての畑でビオディナミを実践し、醸造も「よりナチュラル」をモットーにテクニックはほとんど使いません。
ドメーヌのワインはそのテロワールやセパージュをそのまま100%反映させたもの。逆にネゴスのワインは、テロワールよりはむしろショサール(ナタリー)の醸造センスをワインに反映させたものというのが彼のコンセプト。
パタポン ルージュ[2021] 2021年は春の遅霜の被害が深刻な試練の年で、春に芽吹いた主芽はほぼ全滅…。その後に出た副芽が予想以上に実を付けたものの1ヘクタール当たりの収量が15hL/haと凶作で、2017年、2019年に次ぐブドウの少なさでした。さらに、天候が不安定で日照量にも恵まれなかったことから、収穫日は10月11日と前年よりも4週間遅く、久々の10月収穫。しかし、ブドウの品質的にはナタリー曰く「近年で一番の品質!温暖化前の2000年初期のジャニエールの当たり年を想起させる出来!」と絶賛。彼女曰く「近年のブドウはフェノールの熟成の前に糖度が上がってしまうため、酸やアルコールのバランスを考えどうしてもフェノールが完全に熟す前に収穫しがちだが、今回は逆に夏が涼しかったおかげで、久々にフェノールが熟しきるまで十分にブドウの収穫を待つことができた」とのこと。出来上がったワインは、酒質がエレガントでジューシーでいながら、塩気のある旨味、洗練されたミネラル、酸、若いタンニンがアルコール度数12.5%とは思えないコンパクトに凝縮したストラクチャーを形成し飲みごたえ十分!今飲んでも美味しいですが、もう少し寝かせても面白そうなワインです。
750ml 税込3520円 |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:12,5%
■ ブドウ品種 :ピノ・ドニス100%
■ 平均樹齢 :46年
■ 平均年間生産量 : 本
VdF コ・テ・クゥール[2020] 2015年以来5年ぶりのコ・テ・クゥール。ワイン名には品種の「コー(Côt)」と「Côté傍(そば)」を掛け、「ハート(Coeur)」の傍すなわち「愛する人のそばにいる」という意味が隠されています。また、前回より「Côt
et Coeur(コーとハート)」の文字を切り離し、品種を分かりやすく表現しています。2020年は日照りの影響でブドウの房自体どれも小さくコンパクトでしたが、コーは収穫の直前に雨が降ったおかげで凝縮したブドウに潤いが戻りました。醸造はパタポンと全く同じ方法で仕込んでいますが、雨の降った後に収穫できたこともあり、酒質は非常に滑らかで今飲んで最高に美味しい状態に仕上がっています。通常ロワールのコーは、ワイルドかつ野趣豊かなジビエ料理との相性の良いワインというイメージですが、今回のコ・テ・クゥールは全く別格。凝縮した果実味が艶やかでワイルドさは全くなく、ワインに気品さえ感じます。ナタリーが「自ら仕込んだコーの中で一番の出来!」と自信をもって言うだけの説得力あるワイン!
750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:12,5%
■ ブドウ品種 :コー100%
■ 平均樹齢 :49年
■ 平均年間生産量 : 本
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VdF ル・タン・デ・メ[2020] ブドウは樹齢100年を超す「Les pies(レ・ピィ)」と呼ばれる畑からで、ワインは果実味の艶やかさとエレガントさ、ヴィエーユ・ヴィーニュから来るキメの細かいタンニンがじわじわっと染みわたるような、複雑で奥行きのある造り。ナタリー自身は以前から「モルティエ」と双璧をなすトップキュヴェをこの区画のピノ・ドニスで仕込みたいと思っていましたが、霜や病気の被害に遭うことが多く、中々収量に恵まれず大抵は「パタポン」にアッサンブラージュされていました。2020年は日照りの影響によりブドウの房自体がコンパクトで収量も少なく、ナタリーも収穫する前まではパタポンにアッサンブラージュすることを考えていました。しかし、収穫直前に降った雨のおかげでブドウが一気に果汁を溜め込み、辛うじて醸造できる量に達しました。醸造は前年と同じくロングマセラシオンを行い、タンニンのエグミが自然と落ちるまで6ヶ月漬け込みました。出来上がったワインは、果実味の艶やかさと胡椒のようなフレーバー、そしてヴィエーユ・ヴィーニュから来るキメの細かいタンニンとの塩梅が超絶妙。まさに「Theピノ・ドニス」と言えるようなエレガントな味わいに仕上がっています。今飲んでも酒質がエレガントなので十分に美味しいですが、ポテンシャルが高いので敢えてしばらく寝かせてから飲んでみても面白そうです。
750ml 税込4565円 |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:12,5%
■ ブドウ品種 :ピノ・ドニス100%
■ 平均樹齢 :100年以上
■ 平均年間生産量 : 本
パタポン ブラン[2020] 2020年は霜がなく房が多めでしたが、日照りの影響でブドウの果汁が期待していたほど取れなかったので、「ブリゾー」「キャラクテール」を含め全てのブドウをアッサンブラージュ。ナタリー曰く「収穫
したブドウは粒が小さく、果汁はまるで果皮を搾っているかのようにエキスが凝縮していた」とのこと。醸造は日照りによりブドウの酵母が少なかった為、発酵に勢いがなく終了するまでに10ヶ月を要しました。出来上がったワインは瓶詰後に2g/Lあった残糖が再発酵したのか、クリスピーな泡を感じます。ブドウの果汁エキス由来の凝縮感があり、余韻にはまるでスキンコンタクトを行ったかのようなミネラルの収斂味も感じます。エッジの効いたミネラル好きにはたまらないワインですが、できればあと数年寝かせて酸もミネラルも落ち着かせてから改めて飲んでみたいワイン。
750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :白・辛口
■ アルコール度:12,5%
■ ブドウ品種 :シュナン・ブラン100%
■ 平均樹齢 :10~61年
■ 平均年間生産量 : 本
VdF キャラクテール[2018] 2年ぶりのリリースとなった「キャラクテール」は、上品で透明感があり、ヴィエーユ・ヴィーニュの凝縮したエキスと滋味深いミネラルがしっかり感じられ、薄ウマながらもピュアなエキスが五臓六腑に染み入る卓越した味わいに仕上がっています。ナタリー自身も2018年は収量に恵まれた当たり年と言っていますが、実際「キャラクテール」は樹齢が54年~59年とヴィエーユ・ヴィーニュの領域に入っていて収量が少なく、1ヘクタール当たりたっ
たの22hLしか取れていません。彼女の方針では、今後も「キャラクテール」は収量が取れなくても植え替えはせずにヴィエーユ・ヴィーニュのまま続けていくとのことで、もう既に豊作の時にしかできないとても貴重なワインになりつつあるのかもしれません。
750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :白・辛口
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :シュナン・ブラン100%
■ 平均樹齢 :54~59年
■ 平均年間生産量 : 本
パタポン ルージュ[2017] クリスチャン・ショサール亡き後、妻のナタリーが栽培から醸造までを手掛ける新生パタポン。2017年は前年同様春に遅霜が降り、モルティエの畑以外は甚大な被害。また、霜の影響によりブドウの成熟がバラバラになってしまった為、モルティエを格下げし全てのピノドニスを合わせてパタポンを造りました。醸造はいつも通り全房のブドウと除梗したブドウを交互にミルフィーユのように重ねマセラシオン(この年は軽快な果実味を重視する為、ロングマセラシオンは行っていません)。ワインはピノドニスらしい黒胡椒のスパイシーな風味とユーカリのような個性があり、軽快な飲み心地。中盤からアフターにかけて、収斂したタンニンを感じますが、さすがモルティエが入っているだけあって、酒質の力とバランスは例年の上を行く仕上がりです。
750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:11,5%
■ ブドウ品種 :ピノ・ドニス100%
■ 平均樹齢 :42年
■ 平均年間生産量 : 本
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VdF ル・ブリゾー[2015] 2011年以来4年ぶりの「ル・ブリゾー」。以前クリスチャンが醸造していた時は樽で仕込んでいましたが、ナタリーは個人的に樽で熟成させたワインよりもタンクで熟成させたフレッシュなワインが好みということもあり、2015年は樽を使わずタンクのみで仕込んでいます。彼女が言うには、今回のブリゾーは樽でワインがマスクされていない分、現在の状態でもワインのミネラル感がダイレクトに表れているとのこと。芳醇なエキスの中に鋭く厚いミネラルが溶け込んでいて、今回もブリゾーらしい芯の通った味わいは健在です。
750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :白・辛口
■ アルコール度:13,5%
■ ブドウ品種 :シュナン・ブラン100%
■ 平均樹齢 :51年
■ 平均年間生産量 : 本
VdF レ・モルティエ[2015] クリスチャン亡き後ナタリーが単独で仕込む初のレ・モルティエ。ナタリー自身は樽香があまり好みではなく、トップ・キュヴェのこのモルティエも100%タンクで仕込み、今回は除梗したブドウを5ヶ月間ロング・マセラシオンしています。ナタリー曰く、マセラシオンの長さはテイスティングによって判断するとのこと。すなわちマセラシオン期間が3週間過ぎた時点でこまめにテイスティングをし、もしタンニンの収斂味や苦みが前よりも強くなったら、その時点でデキュヴァージュ。もし前よりもワインが柔らかくなったら、果皮がうまくワインに溶け込んできていると判断しマセラシオンを続行。そして、味わいに乾いた感じが出きたらその時点でマセラシオンを引き上げ、後はワインが程よくこなれるまで熟成するのだそう。ロング・マセラシオンで仕上げられたレ・モルティエは、滋味深く、果実が柔らかくもあり、とても魅力的なワインに仕上がっています。
750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :ピノ・ドニス100%
■ 平均樹齢 :49~59年
■ 平均年間生産量 : 本
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VdF ラッキー[2014] 2014年パタポンにもアッサンブラージュされているレ・ロングヴィーニュの畑のブドウにレ・ピィのブドウをブレンドして造られた新しいキュヴェ。ナタリー曰く「ラッキー!のワインの特徴は、ワインが滑らかかつエレガントで柔らかいこと!モルティエやシャペルよりもレ・ロングヴィーニュの畑は粘土がサラサラなため、出来上がるワインはテキスチャーが滑らかで、さらに、そこにレ・ピィという石灰質の古樹のピノドニスがアッサンブラージュされることによってフィネスやエレガントさが加わる」とのこと。ワインはブルゴーニュのピノ・ノワールを彷彿させるような艶やかな果実味がありとてもエレガントで今がまさに飲み頃です。
750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :ピノ・ドニス100%
■ 平均樹齢 :25~50年
■ 平均年間生産量 : 本
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VdF エンジョイ![2010] クリスチャンが遺した最後の赤!コート・ダレットやコテクゥールのコーは粘土質の多いモルティエの区画であるのに対し、エンジョイのコーはシレックスの多いシャペルの区画からで、ナタリー曰く「シャペルの畑はシレックスが多い分ワインがミネラリーで骨格がはっきりとしている」とのこと。全房のセミマセラシオンで仕込んでいますが、ピジャージュをしっかりと施しており、ワインはタンニンの抽出の多いクラシックなスタイル。ファイバータンクで38ヶ月という長期熟成をしている為、ワインに凝縮感と奥行きがあり、繊細な酸とカカオのようなほろ苦さのあるタンニンが柔らかな果実味を引き締め、ジビエなどの料理と合わせたいワインです。ちなみにワイン名は、ナタリーがクリスチャンの最後のワインを「Enjoy!」楽しんでもらいたいとの思いで命名。
750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:12,5%
■ ブドウ品種 :マルベック(コー)100%
■ 平均樹齢 :40年
■ 平均年間生産量 : 本
パタポン シャペル[2012] 元々シャペルの葡萄はパタポンに混ぜる予定でしたが、テロワールの個性が際立っていたため、分けて瓶詰めされました。シャペルは区画名ではなく、畑近くにある古びたシャペル(教会)から名付けられました。2012年は葡萄栽培をクリスチャンがした最後の年で、収穫を直前に亡くなりました。独り残され深い悲しみで途方に暮れるナタリー。また雨が多くブドウのクオリティ確保がとても厳しい状況の中、厳選な選果を施し、唯一仕込まれた赤がこのパタポン・シャペル。司令塔であるクリスチャンを欠いた中で、全ての作業が後手に回りながらもナタリーが懸命につくり上げた至極のワイン。優しく染み入る味わいに感動で思わず涙が溢れそうになる。そんな特別なパタポンを皆さんも是非味わってみて下さい。
―以下リアルワインガイド43号より抜粋― 日本向けのパタポンとは、別に仕込まれたもうひとつのパタポンです。キュヴェ名にあるシャペルは畑名ではなく、畑の近くにある教会(シャペル)からとったそうです。セパージュはピノ・ドニス100%で造られます。うま味があり、伸びやかな果実味と綺麗な酸が印象的なバランスの良い味わいです。日本向けのパタポンより若干重さがあり、しっかりとした印象の味わいです。タンニンも良質で心地良いです。(今飲んで89 ポテンシャル89+)※掲載ヴィンテージは2011年 750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:12,5%
■ ブドウ品種 :ピノ・ドニス100%
■ 平均樹齢 :46年
■ 平均年間生産量 : 本
パタポン ルージュ[2009] 収穫日は10月8日~9日。パタポン赤はいわばドメーヌの顔!的代表ワインで、テロワールよりもむしろ、その年毎のドメーヌ全体のキャラクターを表現し
た「看板ワイン」という位置づけだ!カシスやバラの花弁、ペッパー、タバコの香り。アタックに感じるタンニンの収斂味とミネラルの凝縮味が酸豊かな果実味と溶け合い複雑な味わいのハーモニーを作り出す! 750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :ガメイ60%、ピノ・ドニス40%
■ 平均樹齢 :31年
■ 平均年間生産量 : 本
ペティアン・ナチュレル・ロゼ レ・ピ・・・ティート・ビュル[2006] キュベの名前である「Les Pies…tites bulles(レ・ピ・・・ティート ビュル)」
は、区画名の「Pies(ピ)」と、小さい泡という意味の「Petit bulles (プティ ビュル」を文字って付けらました。ランブルスコを思わせるような黒ブドウ系の香りと僅かにタンニンも感じられ、白のゴードリオールに比べるとやや甘さ控え目な印象。ブドウジュースに炭酸を加えた、そう!皆大好きファンタグレープをワインにしたような味わいは老若男女問わず楽しめます。 750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :泡白・やや甘口
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :ピノ・ドニス、
■ 平均樹齢 :60~70年
■ 平均年間生産量 : 本
ペティアン・ナチュレル・ブラン ラ・ゴードリオール[2006] キュベの名前である「La Gaudriole(ラ・ゴードリオール)」は区画の名前。前年のドライな味わいとはうってかわってアルコール度はしっかりありながら、さらに残糖も感じられるあたり相当凝縮したブドウを収穫したと思われます。搾りたてのブドウの凝縮感を感じる甘さに、バランスの良い酸とミネラル、そしてほどよく口中を刺激するガスのおかげで最後まで飽きずに楽しめます。只スルスル飲めちゃいますが、アルコールは通常どおりなのでご注意下さい。
750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :泡白・やや甘口
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :シュナン・ブラン100%
■ 平均樹齢 :15~50年
■ 平均年間生産量 : 本
ガリマティア[NV(2005)] 残糖分は4g。2005年の白の中で唯一辛口に仕上がった(ロワールでは残糖5g以下が辛口)。ブリオッシュ、白い花の香り。ワインに骨格がある。ミネラルが十分に溶け込んでいるような凝縮感があり余韻が長い。
750ml |
■ 生産地:フランス、ロワール地方
■ 味のタイプ :白・辛口
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :シャルドネ100%
■ 平均樹齢 :41~46年
■ 平均年間生産量 : 本