カトリーヌ・リス
オーナーのカトリーヌは、ワイン好きの両親がドイツの国境に近いストラスブール郊外の村ゲルストハイムでレストランを経営しており、幼い頃からワインに接する機会に恵まれていた。その影響もあり、高校生の時にはすでにワインの世界で働くことに興味を持っていた。2003年、ボーヌの醸造学校に2年間通い、BTS(醸造栽培上級技術者)の資格を取得。BTS就学中研修先として選んだシャンベルタンの作り手ジャン=ルイ・トラぺでビオディナミに興味を持つ。その後2005年にディジョン大学で醸造学を2年学びDO(フランス国家認定醸造技師)の資格を取得。卒業後、サンテミリオン、ジゴンダス、南アフリカ、ニュージーランドなどワイナリーを転々と滞在しながら異なる地域のワインを学んだ。
2008年秋、当時トラぺでの研修中に知り合ったアルザスの作り手マルク・クレイデンヴァイスの息子アントワーヌから、シャプティエのアルザスワインプロジェクトの話を持ちかけられる。シャプティエがワイナリーの責任者を探しているという話をアントワーヌから聞き、彼の紹介を通じて2009年1月、彼女はシャプティエのアルザス担当責任者となる。この時すでに独立願望があったカトリーヌは、シャプティエで働きながら同時に自らのワイナリーの立上げ準備を着々と行い、2011年の冬、ついに総面積1.5haの畑の借り入れに成功する。借り入れた当時は、シャプティエ側の引き留めもあり、二足のわらじで責任者を継続する予定であったが、最終的に辞退し、2012年1月から現在のドメーヌをスタートする。2013年に新たに1haの畑を借り入れ現在に至る。
肉体的重労働が必要とされるヴィニョロンの世界で、カトリーヌは現在2.5haの畑を女手ひとつで管理している。彼女は、幼い頃に誤って機械に腕が挟まり左腕を失うという身体的な不自由を負っているが、そのハンデをものともせずに、持ち前の明るさとガッツで男に勝る仕事をどんどんこなす。彼女のモットーは「できるだけ手を掛けずに、よりナチュラルに!」で、DOの国家資格を取った頭脳明晰なエノローグの顔を持つ一方、つくり上げるワインはエノローグの理論とは全く対極にあるビオディナミや自然派ワインの方にベクトルが傾く。また、レストランの家系で育った彼女は、ワインだけではなく料理の腕も定評があり、その繊細なセンスはワインの味わいにも生かされている。
趣味はバトミントンとキノコ狩り。現在は忙しくて時間が全くないが、本来は色々な国へ旅行することも大好きなのだそうだ。ちなみに、ヴィニョロンではなくもし違う職業を選んでいたとしたら、通訳になりたかったとのこと。
以上輸入元資料より抜粋
店頭販売のみ アルザス ドゥス・ド・ターブル[2022] 「ドゥス・ド・ターブル」は今までシルヴァネールよりもオーセロワの比率が高かったのですが、この年から新たに1ha植樹したシルヴァネールが加わったことで比率が逆転。2022年はブドウがかつてないほど早熟で、記録的な干ばつに見舞われたにもかかわらず、収穫前に降った僅かな雨のおかげで収量が例年並みまで回復したミラクルな年です。酸が少なかったのでフレッシュさを与えるためにオーセロワはステンレスタンクで仕込んだ一方、シルヴァネールはブドウの窒素不足が影響しスタートから発酵に勢いがなかったので、途中から発酵に勢いのあるオーセロワの澱をウィヤージュに使い、どうにか完全発酵させることができました。出来上がったワインは、桃のジュースのようなフルーティーな果実味と噛めるくらいにタイトなミネラルとのバランスが超絶妙!発酵の難しい年にも「絶対にボラティルを上げない!」と奮闘し、SO2無添加・ノンフィルターを実現し、ボラティルを0.61g/Lに抑えたカトリーヌの努力の結晶が垣間見られます。危うくも官能的でナチュラルな魅力にあふれた、これぞ「Theヴァンナチュール」と言えるワイン!ちなみにワイン名は「テーブルの下」=「とっておきのもの」という意味と、エチケットの「dessous f éminins(女性の下着)」を掛けています。
750ml |
■ 生産地:フランス、アルザス地方
■ 味のタイプ :白・辛口
■ アルコール度:12,5%
■ ブドウ品種 :シルヴァネール60%、ピノ・オーセロワ40%
■ 平均樹齢 :4~37年
■ 平均年間生産量 :本
店頭販売のみ アルザス リースリング ド・グレ・ウ・ド・フォルス[2022] 畑は3つのコミューンのひとつ「Reichsfeld」にあり、ワイン名は「de gré ou de force(=否が応も)」という諺に土壌グレローズ(Gres)を掛けています。2022年はブドウがかつてないほど早熟で、記録的な干ばつに見舞われた年。収穫したブドウは、粒が小さく潜在アルコール度数も
13%まで上がりましたが、カトリーヌ曰く「夏の暑さと乾燥により酸がブロックされたことで、久々にリースリングらしいphの低いシャープでキレのある理想的なブドウを取り入れることができた」とのこと。醸造は日照りによるブドウの窒素不足で酵母の働きが弱く苦労しましたが、ph3.1という低い値に守られながら、ボラティルのリスクなくどうにか時間をかけて完全発酵させることができました。当初はSO2無添加で瓶詰めしようと考えましたが、瓶詰前のスーティラージュの時点でマメが出たので、瓶詰め前に20㎎/L添加。出来上がったワインは、カトリーヌが理想のブドウと言うように、いつもの「ド・グレ・ウ・ド・フォルス」よりも北のリースリングらしくシャープでキレがあり、タイトに洗練されたミネラルはまるでトップキュヴェの「シッフェルベルグ」を彷彿させます。
750ml |
■ 生産地:フランス、アルザス地方
■ 味のタイプ :白・辛口
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :リースリング100%
■ 平均樹齢 :34~54年
■ 平均年間生産量 :本
店頭販売のみ アルザス ピノ・ノワール リーブル・コム・レール[2022] 2018年終わりにカトリーヌの醸造所のすぐ隣村アイショフェン(Eichhoffen)にある0.5haのピノの畑を、村が若手のビオ生産者に賃貸するという公募があり、それを見つけた友人のワイン生産者「Philippe
Maurer(フィリップ・モレ)」が彼女に申請を促したことがきっかけで仕込むことになったワイン。村の公募条件としては、アイショフェン村に土地を持っているか住民であるという縛りがあり、カトリーヌは最初その条件に当てはまりませんでしたが、村に土地を所有するフィリップが代理人となることで、彼女は公募に見事合格し2019年から仕込めることになりました。ワイン名の「Libre
comme l’air」は「風のように自由になる」「何の束縛もない」という意味があり、ハングライダーが趣味のフィリップに感謝の気持ちを込め名前とエチケットのデザインを決めたそうで、フラッグシップである「アンプラント」よりもライトなピノ・ノワールがコンセプトのキュヴェです。
2022年はブドウがかつてないほど早熟で、雨が少なく太陽に恵まれた年でしたが、醸造は簡単ではなくカトリーヌ曰く「ピノ・ノワールは常にSO2無添加を目標にしているが、この年はアルコール発酵中にマロラクティック発酵が同時に起こってしまった為、ボラティルの上昇を抑えるためにマロラクティック発酵が終わった後にSO2を20㎎/L添加した」とのこと。マセラシオン中にピジャージュをしっかりかけてボラティル上昇を防ぐ選択肢もありましたが、カトリーヌは最終的にワインの味わいの方を優先し、抽出を抑えながら最後に極少量のSO2を入れてボラティルを抑えました。出来上がったワインは、お見事という位エレガントに洗練されたチャーミングな味わい。通常、醸造に何も問題がなければSO2無添加にこだわるカトリーヌですが、今回は止むを得ず最小限の「消しゴム」を使い官能的なワインに仕上げました!
750ml |
■ 生産地:フランス、アルザス地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :ピノ・ノワール100%
■ 平均樹齢 :38年
■ 平均年間生産量 :本
店頭販売のみ アルザス ピノ・ノワール タ・パ・デュ・シスト?[2022] 畑はアルザスで唯一「シストブルー」の土壌がある「シッフェルベルグ」にあり、ワイン名も「T'as pas du Schiste(シスト持っていない?)」です。シッフェルベルグは通常リースリングなど白が有名ですが、カトリーヌは白ではなく丘の急斜面に0.56haのピノ・ノワールを所有しています。一般的なアルザスのピノ・ノ
ワールと比べて硬い鉱物的なミネラルを感じるのがシストブルーの特徴で、リスのトップキュヴェです。2022年は日照りの年で、かつてないほどブドウが早熟。2020年のようにブドウの窒素不足による発酵のスタッグを心配したカトリーヌは、急きょ日照りによりダメージを受けたブドウや、鳥の被害に遭った形の悪いブドウを前日に収穫して直接プレスし、そのジュースの中に翌日収穫したきれいな全房のブドウを漬け込みました。出来上がったワインは、搾りたてのグロゼイユのような赤い果実のチャーミングさと、シストブルーの土壌から来る滋味深いミネラルの洗練された味わいが融合した、繊細でフィネスある味わいでカトリーヌの匠が光るワイン!
750ml |
■ 生産地:フランス、アルザス地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :ピノ・ノワール100%
■ 平均樹齢 :20~51年
■ 平均年間生産量 :本
店頭販売のみ アルザス ピノ・ノワール アンプラント[2021] 畑は所有する3つのコミューンのひとつ「Reichsfeld」にあり、ワイン名「アンプラント(Empreinte)」は「指紋」という意味があります(エチケットの女性の顔がリスの指紋となっています)。2021年はミルデューとオイディオムが猛威を振るった年で、特にピノ・ノワールの被害は甚大となり、前年と比べて収量は50%減。カトリーヌ曰く「収穫は前年よりも3週間遅く、収穫をじっくりと待てた分フェノールのしっかり熟した味わい深いワインに仕上がった」とのこと。出来上がったワインは果実味が明るくチャーミングで、上品な瑞々しさがあります。口に入れた途端、フランボワーズやグロゼイユなど赤い果実の官能的な薄旨ワールドが爆発。アルコール度数は11%といつもよりも低めながら、出汁のようなエキスに滋味深いミネラルがぎっしりと詰まっていて、とても深い味わい。リスのファンなら一口飲んで感動のあまり涙しそうな、まさにアンプラント(指紋)という名にふさわしい「リス節」全開な薄旨ワイン!
750ml |
■ 生産地:フランス、アルザス地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:11%
■ ブドウ品種 :ピノ・ノワール100%
■ 平均樹齢 :25年
■ 平均年間生産量 :本
アルザス ピエ・ド・ネ[2016] ピノのジュースにゲヴュルツを漬け込んだマセラシオンワインで、ワイン名は鼻に親指を当てて他の指を動かしながら嘲笑するジェスチャーのことで、いわば日本でいう「あっかんベー」のこと(クラシックなゲヴュルツの醸造方法を揶揄するというメタファーが隠れています)。2016年はゲヴュルツが花流れ、そしてピノがミルデューと動物の被害に遭い、収量が20hL/haと50%減…。さらに熟成の最初の段階で還元やマメが強く出て、当初はそのままお蔵入りのワインになる可能性があったそうです。途中スーティラージュとSO2添加を考えたそうですが、結局お蔵入りを覚悟しそのまま待った結果、マメも還元もきれいに治まったとのこと。味わいはスパイシーかつ繊細で、柑橘系の華やかな香りやアセロラのような微かな甘い香りが鼻をくすぐります。
750ml |
■ 生産地:フランス、アルザス地方
■ 味のタイプ :赤・ミディアムボディ
■ アルコール度:12,5%
■ ブドウ品種 :ピノ・ノワール50%、ゲヴュルツトラミネール50%
■ 平均樹齢 :16~26年
■ 平均年間生産量 :本
カトリーヌ・リス アルザス リースリング シッフェルベルグ[2016] ワイン名Schieferbergはアルザス語で「シストの山」という意味があり、シストブルーはアルザスで唯一シッフェルベルグにだけ存在する土壌です。カトリーヌ曰く、2014年、2015年の醸造が難しかったのに対し、2016年は問題がなくとてもスムーズだったとのこと。2016年はブドウの窒素不足で醗酵に苦戦を強いる中、2年連続発酵に悩まされたこのシッフェルベルグだけが発酵に勢いがあったというから醸造は本当に不思議。通常通り樽発酵、樽熟成を行ったワインは、全体的にバランスが良く透明感がありながら深みもあり、余韻に残るシストのテロワールから来るミネラルの苦みが何とも特徴的で心地よい味わいです。
750ml |
■ 生産地:フランス、アルザス地方
■ 味のタイプ :白・辛口
■ アルコール度:13%
■ ブドウ品種 :リースリング100%
■ 平均樹齢 :39年
■ 平均年間生産量 :本